日本内科学会近畿地方会評議員会って?
写真は先週出席してきた日本内科学会近畿地方会(内科地方会)の評議員会で配られたパンフレット(A4版12P)と私のネームカードです。ネームカード右側に貼り付けてある赤丸シールは私が評議員会での昼食代を支払ったという印です。私は今は評議員ではありませんが、評議員のOBは、評議員会に議決権無しで出席する資格があります。評議員とは内科地方会の下位(上に支部長1名、幹事数名がいる)の役職で、発表論文10編以上を持っていて、大学の講師、あるいは勤務している公的病院で部長など一定の肩書きを持っていれば、上司から幹事会へ推薦して貰って就任することができます。評議員会は内科地方会を運営する議事に参加する権利がありますが、議案で紛糾するなどということはまず無くて、実質は評議員会を兼ねた昼食会に出席し、幹事などからの提案に、「賛成!」の拍手をするだけが仕事のようです。近畿地区には約七百人あまりの評議員がいます。各回の地方会への出席率は20から30パーセントぐらいでしょうか。
内科学会地方会は年三回全国9支部それぞれで開催され、若い研修医などが、自分や仲間、先輩が診療した患者さんについての問題点などを発表し討論します。いわば研修医の学会登竜門のような位置づけの研究発表会(=学会)です。ですから会場はいつも若い先生で賑わっています。
内科地方会の参加費(入場料)は千円です。評議員はそれに加えて二千円を昼食代として支払います。評議員でない先生方は学会場以外でレストランを探す必要がありますが、多くの場合発表が午前中の先生は発表を済ませたら昼前に帰ってしまい、発表が午後の先生は昼からやってきますので不自由はないようです。
医学研究者や医者が出席する学会とは;
医学に関連する学会は、日本内科学会や日本外科学会など病院の診療科として誰でもが知っているような最大手の学会からその下部の専門分野(サブスペシャリティといいます=日本循環器学会とかとか日本リウマチ学会などの)多くの学会があり、その数何と140を越えています。医学にはそれだけ細かい専門分野があるということです。サブスペシャリティーの学会でも大手は年一回の総会(全国大会)に三日をかけて行うのが普通ですから、一日で済ます内科学会地方会のようなものもあわせると、まあ一年中どこかで何か医学関係の学会は行われていると思えばいでしょう。
学会に出席するにはお金がかかりすぎ!
学会に時々出席して最新の知見にふれることは医者にとって大事なことですが、最近はその学会会場に入れてもらうための入場料(会場費)が馬鹿高くなって、二万円近くを支払う必要があります。こういう全国規模の学会では昼食は製薬会社などスポンサー企業によって無料で提供されますが、それでも、会場への交通費や宿泊代などを合わせると場合によっては学会1回十万円ぐらいの出費は覚悟しなければなりません。通常、勤務先からの補助はあまりアテにできません。
抄録集は重すぎ! 内容貧困な学会発表はしないで下さい!
各学会開催の少し前に自宅に送られてくる学会プログラム(抄録集)は年々大きく分厚くなり、今年の日本リウマチ学会のそれ(下の写真)はA4版で1,000ページ、厚さも3.5センチなどとと大きくて電話帳より重く、優に3キロ近くありました。学会開催は毎年回り持ちでどこかの大学が当たりますが、ひとたび会長に指名された教授とその教室は面子にかけてよい学術集会を成功させようとし、抄録集も立派なをと頑張るのでしょうが、その結果持ち運びもままならない本が出来上ってしまっては、文字通り本末転倒というべきです。ならばと書架にに麗々しく飾るようなものでもありません。これにも随分と費用がかかるでしょうから、それは年会費と会場費に跳ね返ってきます。
学会の会場費は1万円ほど、抄録集は約十年前、今の半分強のの重さ、本当はこの辺が限界でした。学会は日本リウマチ学会に限らず、あまねく医学関係の学会はその運営において初心に立ち返るべきです。
ちょっと昔の話ですが、ある有名な先生が次のように断じました。「日本の学会での研究発表は七割が聴くだけ時間の無駄」。自戒を込めて、その通りだと私も思います。そこで例えば日本高血圧学会などのように発表論文を事前審査して発表数を絞り、学会規模の肥大化を防いでいるところもあります。しかし、こういう手段を講じると、変なレフェリー(審査員)の先生(必ず居る)によって良いものが落ちるという危険があります。痛し痒しです。
ロマン
何はともあれ、近くて安くて(抄録集が)軽い日本内科学会近畿地方会へはときどき出席したいものです。