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井上隆智ブログ

お米とご飯




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 私の田んぼ産、「ヒトメボレ」のおにぎりです。透明感のあるご飯粒が光って如何にも美味しそうです。世界に冠たるジャポニカ米の握り飯です。


        お米とご飯の話
 

1.ひとりでどれだけ食べるか、そして米の値段
 
  わが家はもともと自作農の分家です。そじて 1 反(≒ 1,000平方メートル  ≒  300 坪 ≒ 10a)ほどの田んぼを1枚持っています。しかしとても自分で米作りはできませんので、近くの本格的農家が厚意でわたしの田でもお米を作ってくれています。この田で毎年 750キログラム(kg、すなわち30kg  入りの袋で 25袋(たい)=12.5俵) ほどの収穫があってわが家に届けて貰っています。
 稲作は大変な作業ですし、シーズンオフを含めて田んぼを維持管理するなどという仕事もお願いしていますので、毎年収穫した米を大体市場価格の安いほう、30 kg 1袋につき1万円ぐらい、全生産量に対して 25万円ほど支払っています。わが家では別所帯で住む孫を含む子供三軒、それ一部親戚も含めて総計十余人が毎年この米をひとり当たり 60kg (30 kgx2)を消費しています。これで大体うまい具合に米の入りと消費はトントンです。家内がこの玄米を定期的に宅配で”消費者”に送っています。勿論無料。仮に米代金としてみると、先に述べた買い取り価格 30kg につき1万円ということは一人一年分前 60kgが 2万円です。市中で最も普通に商品として売られている単位、5kgで言うならおおよそ 2千円という勘定になります。

 現在の日本人は年ひとり当たり、50.9  kgを消費する(農水省)とされていますので、わが家全体の消費量は大体それに見合っているわけです。
 参考までに、古来「米は1人年1石(こく)」食べると言われてきました。米1升は1.5kg です。1石はその100倍の 150 kg、明治以前の日本人は現代人の約 3 倍も食べていたことになります。農水省の発表では、大戦後のピークの 1962(昭和37)年では1人118.3 kg食べていたとされています。それが年々食文化が変遷し、少子高齢化などもあって、1人あたりの年間消費量は 50.9 kgまでに減ったことになります。
 50.9 kgは冒頭に述べたようにわが家が支払っている値段で換算すると年1人分の米代として約2万円になります。米代、1人年2万円、ひと月だと約 5kg 約2千円です。わが家を、2023 年までの日本の米会計の標準だったとひとまず見立ててこの数値を念頭に置いて以下を読んで下さい。繰り返します。日本人は1人あたり月 5kg (年間60kg)を食べ、その費用は約 2,000円/月。さて実際の米の需給バランスはどうか。日本の米生産量は年約700万トンです(正確には 679万トン 農水省)。国民が一億2千万人だとして、7000万トンを人口で割って国民ひとり一人に行き渡る米の量を計算してみます。7000,000,000/120,000,000=7000/120=58.3 kg.。何と現在の国民1人当たりお米の年間消費量として報告されている 50.9kg とほぼ一致しているのです。わが家の米収支、月約 60kg ともです。去年まで国内では誰もが、毎月大体 2,000 円を支払って 5kg の米を食べていたのです。
 
 さて、米価は昨年後半から上がりはじめ、本年初頭で 5kg 3,000円、この春で 6.000円もするのが出てきました。二倍或いはそれ以上の狂乱米価です。
 去年前半まで 5kg 2,000円だった米がなぜ急に値上がりしてきたのか。ネット記事などでは、猛暑による米生産量の減少や家庭での消費増加などが値上がりの原因として挙げられているようですが、それは多分間違いです。昨年(2024)のわが国の米生産量 679万トンは、2023年度より18万トン多かったのです。一方、農協(JA)が買い集めた量は216万トンで前年より21万トンも下回ったこと分かっています。もしそうなら相当量、少なくとも21万トンの米がどこかに実在し、眠っていることを暗示しています。それを見つけ出して放出させれば今の米高騰は解決します。政府はあわてて災害用備蓄米15万トンを放出しました。消えた21万トンを政府が埋ようとしたのでしょう。政府は30年前の平成の米騒動は冷害による凶作が原因だったことを再認識し今回の”米消滅”とは性質が違うことをしっかり認識して正しい解決策を講じ、これ以上庶民が困らないようにして欲しいものです。



2.米の銘柄
 
 小売店の店頭で最も目に付く5kg の米は「コシヒカリ」です。甘口の美味しい米のチャンピオンです。今の都会人は多分値段あまりが変わらないのなら「コシヒカリ」を選ぶのでしょう。
 わが家の米は「コシヒカリ」と「初星」の交配品種の「ヒトメボレ」です。コシヒカリよりすこししゃっきりしている以外はコシヒカリと変わらないとされています。ふつうの炊飯器で炊いてとても美味しいです。また、ご飯は炊きたてだけでなく、写真のように握り飯にしたり、お弁当にしたりと日常的に「冷や飯」になる機会がいくらでもあります。ですから、よい銘柄は炊きたてだけでなく、冷や飯も美味しくなければなりません。
 農家の人以外はあまり関心の無いことかも知れませんが、いくら美味しい米でも耕作が難しい米は困ります。稲の大敵、カビで起こるいもち病に罹った田んぼを見たことがありますか。台風が早く来て実り かけ田んぼ一面の稲が吹き倒され(倒伏し)たのを見たことがありますか。東京以南に住む人々は、「寒さの夏はおろおろ歩き(宮沢賢治)」の意味がわかりますか。美味しいご飯になって欲しいお米ですが、その前提として、苗から実りまで田にあるときは病虫害や冷害に強いなどという難しい条件をクリアしなければなりません。戦後の米不足を補った何とか言う不味さで有名だった品種がありました。生きるか死ぬかというとき味のことなど言っていられず、兎に角実って空腹だけは救ってほしい、という日々があったのです。その後私でも知っている「農林r8号」、「ササニシキ」などという美味しい品種が出てきて、コシヒカリの現在に至っています。


3.玄米と白米

 わが家に届く 30kg入り の米袋には当然のことながら精米していない玄米が入っています。比較的保存がきく玄米も冷暗所に、つまり冷蔵保管した方がよいのですが、わが家ではそうもいきませんので、二回に分けて半分を収穫直後に届けて貰い、残り半分は生産農家の然るべき保管所に置いて半年後に届けて貰っています。
 米は”生鮮食品”です。ひとたび精米して白米にしたものはできるだけ冷暗所に置き、一ヶ月で食べ終わるようにしましょう。家庭用冷蔵庫に余裕があれば、白米は冷蔵庫の野菜室に入れておくことが推奨されています。



4. 糖尿病の患者さんへ(内科医として)

 米1合の目方は 150g です。ご飯として炊き上げると約 300g、480kcal です。糖尿病患者が一日に食べるご飯の量としてはこれぐらいが適当です。

 ご飯 50g(茶碗半分)が1単位(80Kcal)です。はじめは秤で毎回正確に測って身につけましょう。茶碗一杯が100g(2単位)ですね。糖尿病患者さんは主食(炭水化物)はパンよりご飯が適しています。粉からできているパンは消化吸収が早く、食後ご飯よりは急速に血糖が上が、そのピークも大きいのです。粒食のご飯は腸での吸収がゆっくりなので食後の血糖上昇が軽くて済みます。
 糖尿病の食事は、ご飯をどう上手に食べるかで決まります。そのためには日本糖尿病学会が出している「糖尿病患者のための食品交換表」(¥990)は患者さんだけでなく、糖尿病予備軍などを含め誰にとってもご飯を美味しく食べるための絶好の参考書と言えるでしょう。
 
 


・・・ほぼ完成。現在校正中・・・

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Takatoshi INOUE
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